2026.01.12/ CODE VEIN公式ブログ
開発者インタビュー:アート編 現在と過去、人間と吸血鬼の関係性――作品の持つテーマを表現するデザイン(談:板倉アートディレクター)
今回は、『CODE VEIN II』の魅力を紹介する開発者インタビューをお届けします。当企画の第4回は、独特の世界観を構築しているデザイン・美術面に注目。2つの世界や吸血鬼、装備品やバイクなどについて、アート全般のディレクションを担当した板倉 耕一アートディレクターに語っていただきました。
Q1.今作は、現在と過去という2つの世界が舞台となっています。ともに退廃した世界でありながら様相は大きく異なると思うのですが、それぞれのコンセプトや共通点、差異について教えてください。
今作の主人公が生きる「現在の世界」は滅びの危機に瀕しており、主人公とパートナーのルゥは運命に抗うために「約100年前の過去の世界」を旅することになります。
二つの時代は自由に行き来できるため、自分が今どちらの時代にいるのかを一目で認識できるように、現在と過去で雰囲気を大きく変えようとしました。

「現在の世界」を一言で表すなら「静かに忍び寄る死の世界」です。「渇望の月」と呼ばれる不気味にただれた球体が天高くに浮かび、世界を蝕む胞子をばらまいています。渇望の月からは粘菌のような繊維が伸びて天空を覆い尽くし、地上では灰色のカビのような謎の物体が増殖しているのです。
そして晴れることもなく、草木は鮮やかさを失っています。人知の及ばない「腐食し終わりを迎えるだけの灰色の世界」を表現しようとしました。

一方で「過去の世界」に渇望の月は存在しません。「リンネ」と呼ばれる大規模な変質現象によって人間の文明社会が崩壊した後の時代ではありますが、吸血鬼たちの助力によって復興の兆しが見え始め、そこに生きる人々にも活力があります。そんな活力を感じさせるため、「明るく鮮やかな世界」を表現しました。
過去世界を闊歩する敵は決して生易しくはありませんが、探索を進める中で現在の世界を救う鍵が見つけられるかもしれません。二つの時代での冒険をぜひ堪能していただけますと幸いです。
Q2.登場する武器や服装などからは、前作の『CODE VEIN』とは違ったテイスト・文化が感じられます。この世界のアート全般は、どういった着想から生まれたのでしょうか。
前作の衣装デザインはアウトロー的な雰囲気を表現しようとしていました。これは閉ざされた世界で抑圧される社会への反抗を感じ取ってもらいたかったからです。
今作は世界観が大きく異なり、「人間と吸血鬼の違いや絆」を描くことが重要になったため、外見的な種族の差や価値観の違いを強調することになりました。その中でも価値観の違いとしてデザインに関わってくるのが「寿命の差」です。
今作の吸血鬼たちは長い時を生きる種族ですので、古い文化や伝統を感じさせることで人間との違いを表そうと、ゴシックやアンティーク調の意匠を取り入れています。そのうえで人物それぞれの立場や物語に合わせ、キャラクター性が感じられるようにデザインをしました。

武具についても数百年前から近年までの幅広い戦いの歴史を感じられるようにデザインしています。例えば「古狩人の○○」と名付けられている武器はとても古い時代に作られたもので、アンティーク調の意匠が施されています。と同時に、より近代的な印象の武器も存在します。
そのような時代感の多様さによって吸血鬼と吸血鬼ハンターの長きにわたる戦いの歴史を表現しようとしました。そのうえで全ての武器に共通するのは「刃に吸血鬼の金色の血液が用いられていること」です。吸血鬼を滅ぼすために吸血鬼の力を使う。人間であるハンターたちの執念が感じられることでしょう。

Q3.登場するキャラクターの中で、吸血鬼たちは今作を象徴する存在です。彼らは身体の一部が金色の何かに置き換わっていますが、その理由を教えてください。
今作の吸血鬼たちは金色に輝く流体金属の血液を持っています。赤い血液に吸血鬼としての特別な力が宿り、金色に輝いているのです。そして生まれる際に大きな力の代償として身体の一部が失われたり、人間から吸血鬼になった場合も死亡時の傷や吸血鬼化における欠損が生じます。そんな彼らの「欠けた部分」を埋めるために使われるのが、自身の金色の血液なのです。

この発想は日本の伝統工芸として伝わっている「金継ぎ(陶磁器の破損した部分を、漆を用いて接着、修繕する技法)」からヒントを得ました。デザイン的にはこの発想を元に、立体的な造形物も許容することでキャラクター性の表現に活用しています。
では、なぜそのような特殊な要素を吸血鬼に与えたのか? ……それはひとえに、吸血鬼と人間が明らかに異なる種族であると表現するためでした。お互いに人の姿をし、言葉が通じる存在でありつつも、種が決定的に異なり価値観も異なる人間と吸血鬼。そんな彼らが絆を深めることはできるのか――物語の行く末は、ぜひ皆さまの目で確かめてください。
Q4.吸血アクションは前作から演出が大きく変化し、金色に輝く姿が目を引きます。このデザインはどのように生まれたのでしょうか。
吸血鬼に流れる「金色に輝く流体金属の血液」には、非常に強い力が宿っています。吸血鬼たちは血液を戦闘に活用しており、吸血アクションで出現するオウガやリーパーなどの形状も血液を凝固させて形成したものです。吸血鬼ハンターもジェイルという器具を使い、その力を利用しています。

前作の吸血アクションは「人の手によって造られた工業的な印象」を表現するため、金属と黒いベルトの集合体としてデザインしていました。
今作では、流体金属の血液が凝固して生成されるため、「有機的で流体的な金属表現」でデザインしました。金色だけだと単調な印象になるため黒や銀も用いていますが、それらも含めて血液によって形作られた存在です。
そして吸血鬼の血液は赤い血に力が宿って金色になっているわけですが、使用後の武具が消滅する際に一瞬赤くなって霧散する表現は血液の状態を表しています。これは力を失って血が赤に戻りつつ、錆びて崩壊するといった現象が起きているのです。
Q5.今作では、ジェイルやバイクといった、主人公の行動をサポートする近代技術やガジェットが登場します。これらのデザイン時に留意したことや、注目ポイントを教えてください。
作中では吸血アクションの使用時に出現する部位に「ジェイル」という名称が使われていますが、「ジェイルそのもの」は吸血鬼ハンターが背中に装着する「吸血鬼の心臓が格納されている容器」を指します。
今作の吸血鬼ハンターは吸血鬼に対抗するため、狩った吸血鬼の心臓から力を引き出しています。そのために作られたのがジェイルです。容器に心臓を格納されている様子が吸血鬼にとっての「牢獄」なので、「ジェイル」と呼ばれているわけですね。
主人公も吸血鬼ハンターとしてジェイルを使いますが、その人柄のおかげなのか他のハンターとは少々異なります。バディとなるキャラクター=親交を深めていく吸血鬼たちは、信頼の証として自らの心臓を背中に預けてくれるのです。

このジェイルも長い歴史の中で形式が変わっています。現在の世界を生きる主人公のジェイルは比較的コンパクトかつシンプルな「棺桶型」で、その左右に制御用の装置がついているデザインです。この丸い部分、実は銀の杭が身体に刺さっているイメージでして、吸血鬼の血液を身体に供給しつつ固定する役割を果たしています。
現在の世界で使われているジェイルと比べると、過去の世界のジェイルは大型で複雑な形状をしています。吸血鬼の血液を供給する管のほとんどが露出したままの技術感でして、その血液の循環性を「樹木」のモチーフで表現しようとしました。ここでも技術的な時代の変遷を感じていただければと思います。
そしてバイクについてですか……。バイクデザインについて本格的に語り始めると延々と熱弁してしまいそうなので、なるべく手短に……。

おそらくパッと見て注目されるのは「装飾が施されたクラシックカー的な外見」だと思われるのですが、そのあたりは吸血アクションで出現するジェイルデザインの方向性に合わせているだけなので、そんなに苦労はありません。吸血鬼たちの文化に合ったアンティークな雰囲気にできたと思います。
そのうえで今作のバイクでこだわったポイントは、「なるべく大型にしつつ、踏破性能を両立するための操舵機構の実現」です!!
「大型のバイクにしてほしい」というオーダーに対してアメリカンスタイル(ロー&ロングスタイルの車体)が大好きな私が飛びつきましたが、今作の地形は起伏に富んでいるのでオフロード車のスタイルのほうが自然だった……。
……でも、アメリカンスタイルににじり寄せたい! 好きだから!!
そこで「ハブセンターステアリング」という機構をヒントにして、キャスター角を立てつつロングスタイルのシルエットを実現したわけです。これなら急な方向転換も可能で、かつ衝撃吸収にも優れ、今作の地形にもマッチするはずです。とても気に入っています。
(本当はその機構の複雑なメカニクスも再現したかったのですが、やりすぎるとオーバークオリティになってしまうので、「吸血鬼の技術で実現している」というざっくりとした解釈で割愛しています)
そしてバイクで大切なのはバディと二人乗りができることです。今作の吸血鬼たちは身体の大きさも多様で、なかには非常に大きい者もいます。そんな彼らとも一緒に乗れるよう、タンデムシートは特別に大きくしています。タンデムステップも3対付けたので、どれかに足を乗せられるでしょう。
バディとのツーリングを楽しんでいただけると嬉しいです!
Q6.今作のアートを制作する上で大事にしたことや、こだわった点を教えてください。
どんな作品にも共通するのは「おっ、これは他の作品とは違うな、遊んでみたいな」と思っていただける“ツカミ”ですが、今作の場合は前述したような「吸血鬼表現の特徴」や「独特な終末世界の表現」であり、それらを通して主人公体験の面白さを期待いただけるように作り上げてきました。
特に今作は現在と過去という二つの世界で展開する物語に没入できるように、地続きの広大なフィールドの探索や遊びごたえのあるアクションを開発チームのメンバーが細部までこだわって制作しています。
また『CODE VEIN』シリーズの魅力として、手軽かつ自由度の高い「キャラクタークリエイション」もあります。複数の項目の中から好きなものを選んでいくだけでカッコいい、あるいは可愛いキャラクターを簡単に作れる機能はそのままに、あらゆる部分に詳細設定機能を加えて、自由度は大きく増しています。プレイヤーの皆様のこだわりをより反映できるようになったので、いろいろと試してみてください!

没入感の高い作品に仕上がっていると思いますので、キャラクターや装備品、フィールドなどのデザインにもご注目いただきつつ、思う存分、楽しんでいただけると嬉しいです!


